トラクターやフォークリフト、また建設現場で活用される大型のクレーン車などを公道で運転する場合、大型特殊免許が必要です。大型特殊免許の取得により運転できる車両の種類が増え、就職や転職などで有利になることも多くあります。今回は実際に大型特殊免許取得を考えている方に向け、必要な資格や条件、取得にかかる日数を含めたスケジュールなどについて詳しくご紹介します。
目次
大型特殊免許とは?
大型特殊免許とは、クレーン車や除雪車などの作業を行う目的で使用する大型の車両を公道で運転するための免許です。農業で用いる大型機械のトラクターなどの運転でも必要となります。ただし、「公道を運転するため」の免許であり、実際の作業には作業免許の取得が不可欠です。作業免許については、後ほど詳しくお伝えします。
また大型特殊免許は、第一種と第二種に区分されています。基本的に二種免許とは、タクシーなど乗客の運送に必要になる免許があてはまります。2023年現在、第二種の免許で運転する大型特殊車両はほぼないに等しいのが現状です。大型特殊免許第一種を取得していれば、ほぼ問題ないと考えられます。
大型特殊免許で運転できる車両
大型特殊免許を取ると、どのような車両が運転できるのでしょうか。運転できる車両は次の3つがあります。各車両の詳しい説明については、こちらの記事でご確認ください。
大型特殊自動車
大型特殊免許で運転できる車両の1つ目が大型特殊自動車です。大型特殊自動車とは、全長12.0m以下、全幅2.5m以下、全高3.8m以下の車両を指します。
大型特殊自動車の中でも用途によって3種類の車両に区分されます。まずトラクターやコンバインなど農地で作業を行う農耕車。それから工事で用いるショベルローダーやラフタークレーンなどの車両、除雪車や路面清掃車など路面整備車両が大型特殊自動車に該当します。
小型特殊自動車
小型特殊自動車とは、全長4.7m以下、全幅1.7m以下、全高2.0〜2.8m以下、最高速度時速15km以下(農作業用は時速35km未満)の車両をいいます。小型特殊自動車もまた、大型特殊免許で運転できる車両です。代表的な車両としては田植え機や農業用薬剤散布車などが挙げられます。農作業に用いる車両であっても時速35km以上の場合など、条件によっては大型特殊自動車に区分されます。
原動機付自動車
原動機付自転車も、大型特殊免許で運転できる車両区分となります。原動機の総排気量が125cc以下または定格出力が1.00kw以下の二輪車や、原動機の総排気量が50cc以下または定格出力が0.6kw以下の三輪以上の車両が当てはまります。3輪以上の車両では、キャタピラ・そり付は除外されます。
大型特殊免許を取得するメリット
大型特殊免許の取得により、運転できる免許区分が増えることになります。結果的に運転できる特殊車両が増え、仕事の選択肢も広がります。ショベルカーなど特殊な作業に必要な車両が運転できるため、土木や運輸分野をはじめ、農業などさまざまな職種・職業で活躍できるメリットは大きいでしょう。
また、雇用保険の教育訓練給付金制度の対象となる場合は受講費用の20%が支給される可能性がある点もポイントです。就職や転職に有利になるだけでなく、費用面でもお得になるケースがあるのは大きな利点と言えます。
手に職?大型特殊免許が活かせる仕事
大型特殊免許の取得により、特殊な作業で使う車両を扱えるようになります。幅広い職種、職業での活躍が期待できます。実際に大型特殊免許を取得した後、スキルを活用できる仕事を4つ、順にご紹介します。
自動車教習指導員
大型特殊免許の価値を生かせる仕事の1つに、自動車教習指導員があります。大型特殊免許を取得したい人たちに向け、技術を教える役割を担うことになります。自動車教習所への入社後、取得が可能できます。大型特殊免許は基本的に「公道を運転」できる資格です。何らかの専門的な作業を行うためには、作業に携わる「作業免許」が別途必要になります。
一方で自動車教習指導員については、大型特殊免許だけで就くことが可能です。ただし教習指導員は国家資格のため、「教習指導員資格者証」の所持が求められます。会社によっては、資格手当が支給されるケースも考えられ、資格取得で給料アップもめざせます。
フォークリフトオペレーター
フォークリフトオペレーターも、大型特殊免許が活かせる仕事です。物流センターや工場の内部での荷物、商品の運搬などを中心に倉庫業や製造業で活躍することができます。少子高齢化やネット通販など物流の需要増加に伴い、物流業界でも慢性的な人材不足が続いています。フォークリフトオペレーターの活躍の場は多岐にわたると言えるでしょう。この他、さまざまな業種でフォークリフトが使われており、日本全国から求人ニーズが期待できます。
農業従事者
大型特殊免許は農業でも活用できます。2009年に農地法の改正があり、一般法人の農業参入ハードルが下がりました。農耕用トラクターやコンバインなどの運転操作ができる人材は、農業法人からも引く手あまたです。また異業種から就農をめざす人にもチャンスが広がっています。当然、農業従事者として農耕用トラクターやコンバインなどの運転操作は必須となりますから、大型特殊免許を活かすことができます。
除雪車操作員
大型の除雪車を運転し、除雪作業を行う場合にも大型特殊免許は不可欠です。除雪車にはさまざまな種類があり、それぞれ免許や個別の講習受講が必要となる場合があります。「除雪トラック」「ロータリー除雪車」「除雪グレーダ」「除雪ドーザ」「トラクタショベル」など運転の必要がある除雪車にどんな免許、講習が必要なのかは気をつけるべきポイントです。
除雪車操作員のニーズは降雪地域、降雪時期に限られます。しかし、雪国にあってなくてはならない仕事ですから、求人需要も安定しています。
大型特殊免許を取得する場合の注意点
大型特殊免許の取得により、仕事の選択肢が広がるなど多くのメリットがあることがわかりました。一方で、次の2点には注意が必要です。
大型特殊免許の取得だけでは普通自動車は運転不可
「大型特殊免許で運転できる車両」の項目でも説明しましたが、大型特殊免許で運転できるのは、大型特殊車両、小型特殊車両、原付です。普通自動車免許及び準中型、中型、大型等の免許を持っていなければ、普通自動車の運転はできません。逆にもともと普通免許を持っているケースでは、大型特殊免許の教習期間を短縮することが可能です。後ほど詳しくお伝えしますが、普通免許を取得してから大型特殊を取得することをおすすめします。
大型特殊免許での作業には「作業免許」が必須
繰り返しとなりますが、大型特殊免許は「公道を走るため」の免許です。先ほど少しふれたとおり、作業するには別に「作業免許」が必要になります。加えて作業免許とは、規定のスケジュール、決められた時間に講習を受講し、交付される種類の免許にあたります。教習所や試験場で取得する免許とは異なる点に注意してください。
大型特殊免許と同様、「けん引免許」や「フォークリフト運転技能者」「運航管理者」なども幅広い業界で需要が多いスキルです。大型特殊免許に加えて取得しておけば、さらに仕事の幅が広がることは間違いありません。
大型特殊免許の取得条件とは?
次に、大型特殊免許の取得条件について具体的に見ていきましょう。大型特殊免許の場合も、基本的には普通自動車免許の取得条件とほぼ同じです。年齢は満18歳以上でなければ取得できません。視力に関しては、両眼0.7以上・片眼0.3以上(片眼の視力が0.3に満たない場合は、他眼の視野が150度以上)と決められています。また信号の色を見極めるため、色彩の識別ができることが求められます。
聴力に関しては、補聴器で補われた場合も含み、10mの距離で90dBの警報器の音が聞こえることが条件です。最後に自動車の運転に支障を及ぼす恐れがある四肢、または体幹の障害がないことも加えられています。
お伝えした通り、大型特殊免許の取得条件は普通自動車の取得条件とそれほど差はありません。しかし普通自動車と大型特殊自動車では車両の大きさも異なり、操作についても違いが生じます。一般的には大型特殊自動車の運転のほうが難易度は高くなるため、教習所によっては個別の条件を設定するケースもあります。
大型特殊免許の取得費用と所要日数
大型特殊免許の取得費用は、教習所で9〜20万円、一発試験で6100円、合宿免許で9万円程度かかります。ちなみに一発試験とは、運転免許センターで試験を受けることを指します。取得に必要な日数は教習所で1〜17日、一発試験で最短1日、合宿で最短4日を最低限見ておくといいでしょう。
費用及び日数については、教習所それぞれで事情が異なります。また普通自動車免許を持っている場合、短縮できることもあります。教習所によりケースバイケースで確認が必要なため、詳しくは教習所に直接お問い合わせください。
まとめ
建設現場や物流倉庫などさまざまなシーンで活躍するトラクターやフォークリフト、大型のクレーン車などの車両を公道で運転する場合、大型特殊免許が必要です。作業専門の特殊な車両を運転できる大型特殊免許は「手に職」をつけることができ、取得するメリットは大きいです。
本サイトでは旭川の優良教習所を多数紹介しています。大型特殊免許取得をご検討の方はぜひご覧いただき、疑問点などがありましたらお気軽にご相談ください。
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