自動車教習所の教官は、車や交通ルールについて的確に教えてくれる頼れる「先生」です。実は指定自動車教習所の教官になるためには、専門的な知識を身につけるべく資格の取得が必要です。
車の運転は楽しく便利な反面、正しい知識を持たなければ交通事故などのリスクにつながりかねません。教習生に安心して技術を学んでもらうため、教える立場である教官自身も研修を受け、資格取得のために日々努力しています。今回は自動車教習所教官が取得する資格についてご紹介します。
目次
自動車教習所教官になるには国家資格が必要
教習指導員 | 技能検定員 |
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学科教習・技能教習を指導 | 技能検定を行う |
公安委員会が指定した指定自動車教習所として認められるには、一定条件を満たす必要があります。その一つが国家資格である教習所指導員資格を持つ指導員が配置されていることです。指導員の資格は学科教習、技能教習を担う教習指導員、技能検定を実施する技能検定員があり、別の資格となっています。指定自動車教習所として指定されるには、教習指導員、技能検定員それぞれの配置が定められているのです。
まず教習指導員資格を取得後にさらに経験を積み、技能検定員資格にチャレンジするケースがほとんどです。教習指導員が技能検定員を兼ねている場合が多くなります。
教習指導員と技能検定員は車種それぞれで資格が区分されています。大型自動車の教習を行うためには専用の資格を得る必要があり、普通車や中型車の場合もそれぞれ取得しなければなりません。運転技術や車の構造、運転について豊富な知識やスキルがなければ指定自動車教習所での「教官」とは認められないのです。
加えて教習生にわかりやすく説明できることや思いやりも欠かせません。事故が起きないように細心の注意を払って丁寧に教えるためには、指導者としての自覚も必要になります。有資格者であることは教官を客観的に評価できる基準でもあるのです。
自動車教習所には指定自動車教習所の他に、届出自動車教習所もあります。
指定自動車教習所とは異なり、教官になるための資格は特に必要ありません。そのため、教習生が教官の指導力を評価するのは難しいと言えるでしょう。
教習資格を取るまでの流れ
自動車教習指導員になるまで
受験資格 | 21歳以上 教習・検定を担当したい車種の運転免許 |
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審査 | 各都道府県の公安委員会 |
審査内容 |
筆記試験 面接による審査 |
21歳以上であり、教習・検定を担当したい車種に応じた運転免許を取得しておく必要があります。まずは指定自動車教習所に就職し、教習指導員資格がなくてもできる受付などの事務、掃除など実務を担当し、現場感覚を身につけます。
実際に教習所で仕事をしながら知識を得る事前教養を90時限〜、公安委員会が実施する研修「新任教習指導員養成講習」への参加も定められています。
審査受験に必要な研修などを終えたら、教習指導員の審査を受けます。自動車の運転に関する事柄、自動車教習所に関する法令の知識、教習指導員に関する内容を筆記や運転技能試験、面接などで問われる形です。合格した証に「教習指導員資格者証」が得られます。
また、審査合格後にも事後教養を受けることが義務づけられています。教習生一人一人の進み具合を記す教習原簿の取り扱い方、教習者を前にした実習などが行われます。
教習指導員の合格率は約57.6%
教習指導員審査基準
平成26年中の合格者・・・4294人/受審者7452人(合格率:約57.6%)
(出典:内閣府 教習指導員・技能検定員の制度概要 )
教習指導員には、運転免許があれば挑むことが可能です。例えば筆記試験に関しても車や運転のごく基礎的な技術を問う内容であり、中身が難しいわけではありません。しかし論文式が8割以上、正誤などの筆記は9割以上の正解が必要です。中途半端な知識ではなく、しっかりと正しい内容を把握する必要があるのです。
使い方次第で危険な凶器にもなり得る車の技術を教える立場になる人を見極める国家資格だけに、準備をして臨まなければなりません。受験すれば受かるような簡単なものではないことは、57.6%の合格率からもわかります。
技能検定員になるまで
受験資格 | 25歳以上 教習・検定を担当したい車種の運転免許 二種の技能検定員審査を受審する場合は運転免許証の他にその車種の一種技能検定員資格者証 |
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審査 | 各都道府県の公安委員会 |
審査内容 | 1.技能検定員として必要な自動車の運転技能 2.検定に関する観察力及び採点技能 3.検定に関する知識を問う論文試験 4.検定に関する知識を問う面接試験 |
教習指導員として経験を積んだ後、技能検定員の資格にチャレンジするケースがほとんどです。25歳以上で教習・検定を担当したい車種の運転免許を持っていれば受験できます。
二種の技能検定員審査を受ける際には、受ける運転免許証に加えてその車種の一種技能検定員資格者証も必要です。
定められた新任技能検定員養成講習を受けた後、公安委員会の行う技能検定員資格審査を受けます。技能検定員として必要な自動車の運転技能などの技能試験に加え、筆記試験、面接試験が課されます。
技能検定員の合格率は約58.8%
技能検定員審査基準
平成26年中の合格者・・・3049人/受審者5188人(合格率:約58.8%)
(出典:内閣府 教習指導員・技能検定員の制度概要 )
教習指導員同様、試験の内容の8割から9割以上を正答しなければ合格できません。正確に内容を理解し、実務で得た技能を発揮しなければ合格は難しいでしょう。都道府県公安委員会が行なうべき試験を課す立場にある技能検定員は各検定実施の際に、みなし公務員という立場になります。
みなし公務員とは公務員ではないものの、公共性のある職務を担う立場をいいます。このような重要なポストだけに、技能検定員合格率が6割に満たない厳しい資格であるのも当然なのです。
教習指導員、技能検定員のどちらも、自動車や原動機付自転車の運転で刑法により禁固以上の刑に処せられていないことなどさまざまな要件を満たした人しか受験できない資格です。資格に見合った立場の人だけが教官として教えることがよくわかりますね。
旭川の指定教習所にはレベルの高い教官がいるから安心
公安委員会が定める指定教習所には、道路交通法で定められた要員を配置する義務があります。管理者の設置に加え、難関の国家資格である教習所指導員を取得したレベルの高い教官を置くこともその条件となっています。
車種ごとに応じた適切な資格を有する指導力の高い教官がいるため、質の高い講習が受けられます。学科や実技担当の教習指導員、検定を行なう技能検定員はそれぞれ役割が異なり、きめ細やかな指導が特徴です。公安委員会が認めた有資格者ですから、安全性にも配慮があるのも当然です。
一方、届出教習所の場合、指導員資格に決まりはありません。運転免許証を所持していれば教習生の指導ができる教習所となります。教官のレベルにばらつきが生まれやすい傾向にあることは否めません。旭川で免許取得の際は、教習指導員、技能検定員を兼務する教官が教えてくれる指定自動車学校が安心できるでしょう。
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