排気量が少なく、自転車と自動車の中間のようなパワーを持つ「原付」「原チャリ」と呼ばれるバイク。正しくは原動機付自転車といい、専用の免許を取得しなければ乗ることができません。しかし実は、普通自動車免許(普通免許)を取得すれば原付も運転できます。原付に乗りたい方が合わせて普通免許を取得するメリットとともに、原付バイクの特徴や交通ルールについても詳しく解説します。
目次
【結論:可能】普通免許で原付を運転できるのか?
原動機付自転車(原付)に乗る場合、原動機付自転車免許(原付免許)を取得する必要があります。ただし、乗用車を運転するための普通免許を持っていれば、原付の運転が可能です。原付は普通免許を持っていれば乗ることのできる身近なバイクというわけです。
気軽に乗れる反面、原付には多くの制限があります。まず排気量が50cc以下で、制限速度が最大30㎞/hまでと決められています。また片側二車線の道路の最も左側しか走行できない、二段階右折など乗用車とは異なる原付独自の交通ルールを守らなければなりません。
原付バイクの定義とは?
原付の正式名称は、先ほども少しふれたとおり「原動機付自転車」です。個人の移動手段として長きにわたり活用されてきました。一般的にはスクーターやミニバイクなどと呼ばれ、自転車に近いことから親しみを込めた「原チャリ」「原チャ」との呼称が使われる場合もあります。現在の道路交通法における原付バイクとは、エンジン車の場合は、排気量50cc以下の原動機を備えた二輪車をいいます。
また電気で動く電動スクーターでは、定格出力0.6kW以下の電動モーターを備えた二輪車が当てはまります。原付に定義される車両は、普通自動車と同じように自賠責保険の加入が義務付けられています。未加入の場合は、厳しい罰則が科せられるため注意が必要です。
普通免許で乗れるその他の車両
普通免許の所持により、原付バイクも運転できることはご理解いただけたと思います。加えて普通免許があれば、原付一種・原付一種に分類される電動スクーターに加え、3輪で走行するトライクや小型特殊自動車、一部のトラックも運転できるのです。普通免許で乗れる車両の特徴は、次の通りです。
- 原付一種・原付一種に分類される電動スクーター
エンジン排気量50cc以下のバイク、定格出力0.6kW未満のもの - トライク
3輪で走行する車とバイクの中間の乗り物。一般的なトライクは前輪が1つ、後輪が2つ付いているパターン。前輪が2つ、後輪が1つのリバーストライクもある。車体が傾くリーンタイプのトライクは、バイクと見なされるため、普通自動車免許で運転できないなど条件がある。 - 小型特殊自動車
農耕用車両や小型のフォークリフトなど。速度や車両の大きさが定められた規格内の小型特殊自動車は運転可能。 - 一部のトラック
免許を取得した時期によって運転できるトラックが異なる。平成29年(2017)以降に取得した場合は車両総重量3.5トン未満、最大積載量2トン未満、乗車定員数10人以下のトラックに限られる。
普通免許で乗れる原付バイクの種類
普通免許で乗れる原付バイクについてあらためて確認しましょう。排気量50cc以下の原動機を備えた二輪車もしくは定格出力0.6kW以下の電動モーターを備えた二輪車であれば可能です。
これらの原付バイクで人気の機種が、「小さなエンジンでもパワーがある」という意味を込めて名付けられたホンダのカブシリーズです。ホンダ クロスカブ50、ホンダ スーパーカブ50などが世界中で愛される名車として知られます。ホンダ車はホンダ ダックス、ホンダ ダンク、ホンダ ジャイロ Xも人気です。
シンプルで小回りの利くヤマハ ジョグ、ヤマハ ビーノは1983年発売のロングセラーです。リーズナブルなスズキ アドレスV50や、輸入車のベスパ プリマベーラ 50、プジョー ジャンゴ50のスタイリッシュさは群を抜いています。レーシングマシンの雰囲気が味わえるアプリリア RS4 50 SBKもおすすめです。
原付免許取るなら合わせて普通免許を取るべき理由とは?
小回りが利き、移動に便利な原付の運転には、原付免許が不可欠です。原付免許を取るのであれば、最初から普通免許を取得することを推奨します。というのもある程度原付を乗りこなしたら、乗用車に乗りたくなる時期が来るかも知れないからです。結果、原付免許を取った後さらに普通免許を取るための教習に通わなければなりません。2回めの取得になるわけですから、当然費用もかさみます。いずれにせよ普通免許を取るのであれば、最初から挑戦したほうがトータルの費用は安く済みます。
また経済的なコストと同様、時間や手間もかかります。2回学び、さらに免許センターで2度テストを受けるとなればより時間を要するためです。最初から普通免許を取得することで、時間的コストを短縮することも可能となります。
【例外】普通自動車が絶対に必要ない方は原付免許でもOK!
原付免許を取るにあたって、最初から普通免許を取得したほうが金銭的・時間的メリットが大きいとお伝えしました。しかし将来的に車を運転する予定がない方や原付免許だけで十分だとお考えの場合はもちろん原付免許のみの取得でOKです。原付免許のみならば取得までの時間も比較的短く、費用もリーズナブルに済ませることができるでしょう。
原付だけの免許を取る方法とは?
原付免許を取得するには条件があります。年齢が16歳以上であり、両眼で0.5以上の視力が必要です(眼鏡、コンタクトOK)。この他にもクリアすべき条件が設けられていますので、都道府県にある運転免許試験場 (免許センター)や管轄の警察署のHPなどで確認しておきましょう。
都道府県にある運転免許試験場 (免許センター)や管轄の警察署学科試験で視力や聴力の検査など適正検査を受けた後、学科試験を受験します。合格すれば免許証がもらえ、技術試験はありません。学科試験に合格したら、原付技能講習を受けます。
ただし地域によっては、学科試験と原付技能講習の順番が前後するところがあります。その場合、前もって自動車教習所などで原付技能講習を受けておく必要が出てきます。ほとんどの教習所が、月に1〜2回しか原付技能講習を行っていません。さらに教習生の多い繁忙期(夏休み、1〜3月)には開催していない場合もあります。1回の定員も少なく、原付講習は毎回定員がいっぱいのケースがほとんどです。事前に原付技能講習を受ける場合は、教習所の状況を調べておくことをおすすめします。
普通免許取得したてで「原付」を運転するのは危険なの?
普通免許を取得すれば、自動的に原付バイクにも乗ることができるようになります。けれども、教習中に原付の乗り方を練習する機会はありません。いきなり原付を運転するため、「大丈夫かな?」と不安に思う方も多いでしょう。
原付には、普通自動車と異なった独自のルールがあります。よく知られる二段階右折の他、原付ならではの注意点は多岐にわたります。ここからは原付を安全に運転するため、危険を回避するために知っておくべきポイントをピックアップしてご紹介します。
事前の練習し、原付の運転テクニックを身に付けておく
原付に乗ったことがない場合や運転する自信がないという方は、事前練習してからの運転をおすすめします。原付は最高時速が時速30kmと定められ、原則としていちばん左側の車両通行帯(第一通行帯)を走行しなければなりません。また右折の際は、一度交差点を進み、左前方の車線にそって曲がる二段階右折が義務付けられています。これらは普通自動車にはない独自のルールであり、きちんとしたルールを把握するために教本へ目を通すことが大切です。ルールを知った上で、実際の運転も練習をしておいたほうがいいでしょう。
また、原付に限らず、二輪車は四輪の普通自動車にはない運転テクニックを求められます。特に、曲がるときにはハンドルに加え、体重移動やバンク(バイクを曲がる側へ寝かせるように走る)などの運転テクニックが必要です。すぐに身につく技術ではないため、何度も練習を重ねることが重要となります。
乗るときの服装に気を付ける
乗車時の服装にも注意が必要です。例えばロングスカートのようなタイヤに巻き込まれやすい服装は避けましょう。転倒など事故の原因になるおそれがあるためです。普通自動車とは異なり、原付は体一つで運転します。タイヤや道路に服装が触れるということは事故の原因に直結するため、運転しやすい服装を心がけるようにしましょう。
悪天候の場合は乗るのをやめる
雨や雪が降っているなど、路面状況が悪い日の運転は危険を伴います。安全のためにも、原付の運転を控えたほうがいいでしょう。しかしながら、運転中の急な天候悪化などやむを得ない場合も出てきます。急に天候が悪くなった場合、どのように対処するのかを必ずチェックしておくことが大切です。
例えば雨天時など濡れた路面では急な操作をしないよう配慮します。急ハンドルや、急加速、急ブレーキはスリップしやすくなります。速度を落とし、車体を傾けないでバランスを保つよう注力します。急な雨に備えてレインウェアを準備しておくといいでしょう。雨の日に走行した後は、サビを予防するために水をしっかり拭き取り、スプレーグリスなどを使用して給油するなどメンテナンスにも気をつけたいものです。
まとめ
普通免許を取得すれば、乗用車以外に原付を運転することができるようになります。就職や転勤など将来的に車が必要になる可能性もありますから、原付限定ではなく普通免許に挑戦するのがおすすめです。また原付に乗る際は、独自の交通ルールを理解して運転するようにしましょう。
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